キアト・リム、メリトンの5人目のバレンシアCF会長
2022年12月にクラブの取締役会に入ったキアト・リム。当時から、彼の取締役就任は次の会長になるための準備と言われてきました。そして2年3か月が経過し、その時がきました。
バレンシアがメリトンのクラブとなった2014年の夏以降で、キアト・リムは5人目の会長となります。
最初の会長はアマデオ・サルボでした。メリトンが来る前から会長職を務めていたサルボは、ピーター・リムのバレンシア買収の協力なサポーターとなったことで、買収完了後も会長職を継続することになりました。
しかし、サルボとピーター・リムの関係は1年足らずで崩壊することになりました。サルボ会長+ルフェテSD&アジャラの技術部門とヌーノ・エスピーリト監督&ジョルジュ・メンデスの間の軋轢により、サルボは失脚することになりました。
サルボの退任に伴い、ピーター・リムは自身のビジネス面の人材で最も信頼を置いているチャン・レイフンにバレンシアCFの指揮権を渡しました。レイフンは2年半の間会長を務めましたが、スポーツ面の成績不振により解任されました。レイフンはバレンシアCFでの仕事で消耗し、メリトンの他の事業部門の管理職を務めるためにシンガポールに戻りました。
代わりにやってきたのはアニル・マーシーでした。サッカービジネスに関する経験が全くなかったシンガポール人外交官は、マテウ・アレマニーとマルセリーノ監督がタッグを組んだ2年間の成功の中で脇役を演じることで、2年連続のチャンピオンズリーグ出場権獲得を達成し、クラブ創設100周年のメモリアルイヤーに国王杯優勝という栄誉を経験する幸運を得ました。
しかし、2019年9月にピーター・リムの一存でマルセリーノ監督が解任されると、クラブは崩壊の一途を辿ることになりました(マルセリーノ解任はマーシーも望んでいなかったことでした)。クラブの凋落と共に、ファンの反メリトンの抗議活動が熱を帯びてきたこともあり、マーシーはバレンシアファン、メスタージャ、バレンシアCFペーニャ協会などに対し、多くの制限措置を講じましたが、結果的には火に油を注ぐ形となりました。
会長就任から5年が経った2022年5月、音声スキャンダルを利用してメリトンはマーシーを解任。クラブの100年の歴史の中で最も大きな敵意を抱えた会長としてクラブを去ることになりました。
マーシーの解任後、ピーター・リムが信頼している人物のひとりであるコジャマ・カリムディンが"幻の会長"としてやってきました。彼の就任と共に、カンテラでの仕事が評価されていたショーン・バイがゼネラルマネージャーに就任。ショーンは"メリトンの唯一の良心"と呼ばれるほどクラブ内外の人たちに評価されましたが、この体制はわずか2ヶ月半で終わることになりました。2022年8月、ピーター・リムはチャン・レイフンの会長復帰とコジャマ・カリムディンの取締役への復帰、ショーン・バイの退任を発表しました。
復帰したチャン・レイフンに課されたメインプロジェクトはノウ・メスタージャの工事再開と完成までの道筋をつけることでした。今回、工事が再開したことで、使命を果たしたレイフンは再度クラブを去ることになりました。
新たに会長となるキアト・リムについてはファンからは大きな懸念の声が上がっています。
2022年12月、取締役に就任した直後のキアトは、「バレンシアのファンや株主、ペーニャと頻繁にコミュニケーションを取りたい」「現場で働き、現場の声に耳を傾けたい」と発言しました。しかしこの日以降、彼は一度もバレンシアの街に戻っていません。自身のSNSでバレンシアに関する投稿を"数回"したのみであり、株主総会にもリモートで参加したのみです。
また「会長就任後もバレンシアに住むつもりがないので、試合にも顔を出さないつもりだ」と報じられており、クラブへの関心が著しく低いことから、彼がファンの信頼を得ることはチャン・レイフンが同じことに取り組むよりも難しくなるでしょう。
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