ママルダシュヴィリ、ヨーロッパ最高のGKへ
先日のEURO2024プレーオフでジョージアを初の本大会出場に導き、バレンシアだけではなく、母国の英雄のひとりとなったママルダシュヴィリ。その彼を"発見"したアントニオ・ロペスが、バレンシアとの契約の経緯をASで明らかにしました。
現在、彼の代理人を務めているアントニオ・ロペスは、ロコモティブ・トビリシでプレーしていたママルダシュヴィリを見て、その才能に惚れ込みました。
2020年9月24日、ヨーロッパリーグ予選でグラナダと対戦したロコモティブは0-2で破れましたが、ママルダシュヴィリはこの試合で素晴らしいパフォーマンスを披露しました。
「彼を8か月以上見続けてきて、その日が彼がプロサッカー選手として開花した日でした」
ロペスはそう言います。
ロペスは様々なチームに彼を売り込みました。しかし、どのチームも「えっ、ジョージア人だって?」と言ってきた、とロペスは話します。
そんなママルダシュヴィリに関心を示したのは、バレンシア・アカデミーのディレクターであるルイス・マルティネスでした。
「バレンシアとの交渉は35万ユーロから始まり、最終的に85万ユーロで合意しました。非常に緊張感のある交渉でした」
周知の通り、2021年の夏にバレンシアはママルダシュヴィリをBチームのGKとして獲得。そして、プレシーズンをトップチームで過ごしました。
ペペ・ボルダラス監督はプレシーズンを通じて彼が非常に大きなポテンシャルを抱えていることに気づきました。そして2021年8月13日、リーガ開幕戦:ヘタフェ戦で、偶然ヤスパー・シレセンとジャウメ・ドメネクが負傷していたことで、ボルダラス監督は第3GKのクリスティアン・リベロではなく、このジョージア人GKをスタメンに抜粋しました。
彼は最終的にバレンシアのBチームでプレーすることはありませんでした。Bチームの選手として契約した彼の年俸は非常に安く、給与よりもトップチームでプレーすることで得たインセンティブの方が多かったほどでした。
デビューとなったヘタフェ戦での勝利から、酷いミスを犯したセビージャ戦でベンチに"降格"するまで、彼は7試合連続でフル出場を果たしました。
「最初の数試合、彼には運が無かったと思います。それでも彼は強い気持ちを持って、成長するための努力を続けました」
ロペスはそう語りました。
「彼はアパートで一人暮らしをしていたので、あらゆる書類を私が届けました。ジョージアでの給与は800ユーロ、彼はそこからバレンシアにやって来たのです」
そして今、彼はバレンシアの絶対的守護神となりました。リーグ戦で67試合連続でプレーし、2022年にはベティスとの国王杯決勝でもプレーしました。彼の市場価値は3500万ユーロに上昇し、クルトワ、オブラク、テア・シュテーゲンを抑えてリーガ最高額のGKになりました。
「彼の道はまだまだ続きます。間違いなくヨーロッパ最高のGKになるでしょう。彼はイングランドのサッカーをとても好んでいます」
アントニオ・ロペスは「バレンシアについてもうひとつ興味深いエピソードがある」と言います。
現在ナポリでプレーするジョージアサッカー界のもう一人の真珠であるクヴィチャ・クヴァラツヘリア。彼もバレンシアと契約する可能性がありました。
「クヴァラツヘリアの父親がトビリシでバレンシアの関係者と会談しましたが、合意に至りませんでした。その時、彼はロシアとウクライナの戦争の影響で、ルビン・カザンとの契約を解除したばかりで、フリーの状態でした」
バレンシアが契約を見送った後、彼は母国のディナモ・バトゥミで4ヵ月プレーし、11試合で8ゴールという成績を残してナポリと契約を結びました。そして加入初年度となった2022/2023シーズン、ナポリは33年ぶりにセリエAを制覇し、彼はリーグ年間MVPとなりました。