2023/24シーズンに向けて頭を悩ませる給与制限
今週中にバラハ監督と契約延長を終える予定のバレンシアは、同時に来季に向けてのチーム作りも進めています。その中で経営陣の頭を悩ませているのはFFPによる給与制限です。
2021年の夏には1億1100万ユーロあったバレンシアの給与制限額は、2022年には7600万ユーロまで減りました。今季を16位で終えたバレンシアは、ラ・リーガからの賞金額、来季のテレビ放映権料が1年前よりも少なくなります。またメインスポンサーCazooの撤退により、新たなスポンサーを見つけない限り広告料収入も減ることになります。つまり、来季は収入減のため、給与制限額がさらに下がるということです。
現時点でバレンシアの人件費は給与制限に逼迫しているため、給与制限額がさらに下がった場合、新たな選手を補強するためには、選手を放出して給与総額を減らすか、クラブとしての収入を増やして給与制限の額を上げるしかありません。
収入を増やす手段としてクラブは、ママルダシュヴィリやユヌス・ムサの売却を検討しています。一方、給与総額を減らす方については、高給取りの選手たちの放出でバランスを取ろうとしています。
給与総額の35%を占める4人
現在のバレンシアのスポーツ部門は、4人の選手の人件費が給与総額の35%を占めています。その4人はガヤ、カバーニ、ガブリエウ・パウリスタ、ディアカビです。
この中でクラブが年俸に見合ったパフォーマンスを得られていないと考えられているのがカバーニとガブリエウの2人です。残りの契約が1年となっているこの2人の選手はバレンシアとの契約を全うするつもりでいますが、クラブは給与制限に余裕を持たせるために放出に前向きでいます。
バラハ監督はカバーニのパフォーマンスに満足しておらず、攻撃陣の補強が必要であるとクラブに訴えてきました。実際に残留確定に向けて得点が必要な状況だった最終節で、バラハ監督はカバーニでもウーゴ・ドゥロでもなく、カンテラーノのアルベルト・マリをピッチに送り出しました。
ガブリエウは怪我の影響もあり、バレンシアに入団して以来最もインパクトの薄いシーズンを過ごしました。しかし、クラブへの高い忠誠心を持っており、その点でバラハ監督は彼を評価しています。実際にシーズン終盤はジェンクからポジションを奪い返し、チームの残留に貢献しました。しかし、クラブがジェンクの買取オプションを行使したことに加えてカンテラから有望なCBが相次いで出てきていることからCBの駒は足りており、彼の立場は危うくなっています。
クラブにとって一挙両得となるディアカビの売却
シーズン通じて高いパフォーマンスを維持したガヤとディアカビは今季中に契約延長しましたが、その背景はそれぞれ異なります。
ガヤはキャプテンとしてワン・クラブ・マンを目指すという意思表示でありましたが、ディアカビの場合は残りの契約期間が短く、今夏フリーで退団されないための延長でした。したがってディアカビはより多くの給与を求め、クラブもそれを受け入れました。
バレンシアでの5年目を終えたディアカビは、クラブは既にリヨンへの移籍金支払いも終えており、今は純粋なクラブの資産となっています。つまり彼を売却した場合、その金額は全てクラブの収入になるということです。条件の良いオファーが届いた場合、スポーツ的な側面はさておき給与制限と収入の両面でクラブにとってポジティブな要素となるため、クラブが彼を売る可能性は否定できません。