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ディアカビのインタビュー「子供の頃から満場一致で認められたことはなかった」

昨季途中から評価を上げているムクタル・ディアカビ。加入当初は多くの批判にさらされてきましたが、今季はついにチームのDFリーダーとなりました。クラブとの契約も残り1年を切り、去就が話されるようになってきたディアカビが、フランスのメディアに答えたインタビューを掲載します。

※インタビュー自体は昨季終了時点(5月)で行われたものであり、いくつかのコメントはそれを考慮してください。

ディアカビのインタビュー「子供の頃から満場一致で認められたことはなかった」

──ベティスとの国王杯決勝の話を聞かせてください。すでにあの敗北は乗り越えましたか?
「結果は残念でしたが、サッカーを愛する全ての人たちにスペクタクルな試合を届けられたのではないでしょうか。国王杯を通しての僕らの道程を誇りに思います。多くのチャンスがあったと思いますが、1点しか取れなかったことで難しくなりました。僕は、リーガでも国王杯でも多くの優勝経験があり勝つことが文化となっているクラブでプレーしています。だからこそタイトルを定期的に獲得しなければなりません。2019年に国王杯を勝ち取るという幸運を手にしましたが、その時のバレンシアの街の空気は信じられないものでしたし、あの夜もそれを再現したいと思っていました。決勝ではベティスの選手とファンが僕らのファンに感銘を受けているのを見ました。あの夜、バレンシアの素晴らしさはいろいろな面で証明されたと思います」

──国王杯とは変わって、リーガでは9位に終わり、欧州カップ戦出場を逃しました。
「リーガで順位を上げるチャンスを生かすことが出来ず、難しいシーズンになりました。ただ、僕らがリーガより国王杯に集中していたことも事実です。同じだけリーガに集中していれば、たぶんもっと良い結果を得られたと思います」

──バレンシアに来て4年が経ちました。バレンシアの街について教えてください。
「スペインで3番目に大きくて、住むのにとても良い街ですが、そのことがあまり多くの人に知られてないかもしれませんね。今年はそれほど暑くありませんが、概ね天気も良いです。街の人たちも親切で、海も近いので観光客もたくさんいて、活気があります。僕はどちらかというと家で過ごすことの方が多いので、この街の魅力を十分に楽しんでいないかもしれませんが、サッカー選手にとっては成長するのに最適な環境だと思います」

──ナント(フランス)近郊のマラコフ地区があなたにとって非常に重要な場所だということを知っています。あなたにとってどんな場所ですか?
「マラコフは僕の少年時代そのものです。僕の心の拠り所であり、今でも両親が住んでいて、この村とは強い絆で結ばれています。僕のような恵まれた環境にいる者は、村の役に立てることがあればやらなければなりません。例えばナントに帰る時は、チームメイトたちからもらったキットを持って帰ります。すると村の子供たちがとても喜びます。村の人たちに対しては、村の皆がよく知っているプロとして契約する前のムクタルでありたいと思っているのです。僕がうまくいかない時、この村はいつも僕に力を与えてくれました。彼らは僕を通じてサッカー選手になるという夢を生きています。だから僕にはそれに応える責任があると思っています」

──あなたの悪い時期の話をさせてください。スペインのメディアやSNS上でのバレンシアニスタは、これまであなたに対して非常に厳しい見方をしてきました。
「僕自身は自分への批判的な記事を読むつもりはないんですが、それでもいつもそういう記事に出くわしてきました。僕に限らず、誰かが悪く言われている記事をその当人に送りつけるような人が居ますが、それはその人にとって何の役にも立たないということに気が付いていない一定数の人がいることは最悪なことです。個人的にはメンタルは強いので、どれだけ批判されても自分ができることは分かっています。もちろん正当性のある批判もあります。それはサッカーの一部ですから僕は尊重します。ただ、記事やコメントを読むと、何も知らない人やハイレベルとはどういうことかを知らない人がいることを実感して、笑ってしまうこともありますね。私たちサッカー選手は皆それぞれのプレースタイルを持っていて、僕のプレースタイルは必ずしも万人受けするものではないこと自分で理解しています。また、上手くいった時よりもミスした時の方が目を引くということも。それが僕が良いプレーヤーではないという正当な理由になるんでしょうか?何が起きても仕事の一部なので、対処しなければいけないと思ってます。思い起こせば子供の頃から満場一致で認められたことはなかったので、だからこそこういう状況に慣れているんだ、と自分に言い聞かせています(笑)」

──今のあなたは、以前と比べて格段に良くなっているという印象があります。状況を変えるために何をしたのですか?
「ピッチ内外で何が問題なのかを理解するために、自分自身に集中しました。ビデオアナリストとフィジカルトレーナーで構成された特別なグループを作りました。プロとして残されている素晴らしい時間を無駄にしたくなかったからです。年齢とともに経験を積み、物事をより理解できるようになり、これまでとは違って、より集中できるようになりました。以前は、ピッチに居るためにピッチに居て、その時は自分がサッカー選手であることがどれほど幸せなことかを理解していませんでした。プロのサッカー選手あることに酔いしれていることもできますが、最高レベルでプレーしたいのであれば、それではいけません。名声のためにサッカーを選んだわけではないですし、名声を羨むこともありません。サッカーはそれなりの収入を得ることが出来て情熱を持てる仕事ではありますが、サッカーを取り巻くそれ以外の全てが僕は苦手です。例えば僕は、街で"普通の人"として見られたいと思いますし、僕らのような立場になりたい人がどれだけいるかを考えたら、道で唾を吐くことも良くないことだと自覚しています」

──あなたはギニア代表のシャツを着ることを選択しました。25歳になるまでこの決断を下さなかったのは何故ですか?
「カバ・ディアワラ代表監督とは、彼が代表チームに就任する前から定期的に話をしてきました。そして現在の代表チームが多くの面で変化していることも知りました。友人のセール・ギラシ(現シュトゥットガルト)やチームメイトのイライクス・モリバがこれらの変化について説明し、僕を安心させてくれました。U-21フランス代表に居た時もギニアサッカー連盟の会長とは会っていたので、ギニア代表のシャツを着ることに扉を閉ざしたことはありませんでした。でも当時のギニア代表は、今は代表チームに居ない何人かの人たちの影響で組織的に問題がありました。僕の目から見てギニア代表として相応しい姿ではなかったですし、好きなチームではありませんでした。今は全てが変わりました。僕たちはギニア代表をアフリカサッカーのトップレベルに押し上げるために進まなければならないと思っています」

──一昨季になりますが、あなたが人種差別的な発言をしたと非難したファン・カラとの論争で、あなたの評判が悪くなった時期がありました。リーガはこの件について充分なフォローをしませんでしたが、そのことであなたは傷つきましたか?
「この件に関わった人たちの中には共犯者も居ます。スペインサッカー連盟、カディスの選手たち、彼らの監督...多くの人があの日何が起こったのかを知っていたはずです。彼の侮辱を聞いていたのは僕だけだったので、僕に向けられたものであることは確かでした。報告書には"de mierda"とは言っているが、"negro"と言っているのは聞こえない、とありました。この件はサッカー選手として、そして何よりも一人の人間として僕を強くしてくれた事実です。昨季、カディスとの対戦で相手のスタジアムを訪れた際、僕は途中出場でプレーしましたが、ウォーミングアップに出た瞬間からカディスのファンから口笛を吹かれ、侮辱され、人種差別的な発言を受けてきました。でも僕は落ち着いてプレーし、その後ポジションを得て出場機会を増やしました」

──若い頃、ナントのユースに居た時に、当時のコーチから"デュエルで優しすぎる"と言われたそうですね。この時期、サッカーを諦めようと思ったことはなかったのですか?
「ナントではU-15のチームに居ましたが、チームメイトたちと一緒に練習したことはほとんどありませんでした。週末はストライカーとして試合に出ていましたが、僕には合いませんでした。シーズン終盤に父がクラブに電話して、ヴェルトゥに戻ることを伝えました。ナントを批判したいのではなく、センターバックに戻りたかったんです。多くのクラブから連絡をもらいました。トゥール、シャトールー、ヴァンヌ、レンヌ、アンジェ...挙げればきりがないですが、最終的にヴェルトゥに戻りました。幸いなことに父がそばに居て支えてくれました。今の僕があるのは父のおかげです」

──そんなあなたに2013年、オリンピック・リヨンがやってきました。その2年後にあなたは最初のプロ契約を結ぶことになります。
「驚かずにはいられませんでした(笑) 僕は自分のレベルを自覚していて、ヴェルトゥを出る時期だということは理解していました。リヨンはその当時の僕が必要としていた環境でした。リヨンのコーチ陣は僕の限界を知るために、加入してすぐに僕をリザーブチームに送りました。そこではナビル・フェキル(現ベティス)、クリントン・エンジ(現スィヴァススポル/トルコ)、ファラ・バルーリ(現ドニプロ/ウクライナ)らと一緒に練習し、自分がそのレベルになったことを理解しました。他のクラブとは異なり、リヨンは僕に何ができるかをすぐに見抜いてくれました。すごいスピードでステージを駆け抜けました」

──リヨンでのトップチーム1年目はチャンピオンズリーグのユヴェントス戦でスタメン出場し、ヨーロッパリーグでは準決勝まで勝ち進むなど、リヨンの快進撃に大きな役割を果たしました。このようなプロのスタートを切れると思っていましたか?
「今思い出してもすごく印象が強いです。プロ1年目で非常に高いレベルを経験できたと思います。ベシクタシュとのリターンマッチが記憶に強く残っています。スタンド、雰囲気に感動しましたし、全力を出し切りたいと思わせてくれました。ビッグネームに囲まれたチームの中で自分が最も小さな存在でしたが、そういう"身分"に関係なく、性格的にチームメイトたちに"ポジションを戻して"と言うこともできました。ゴナロン、フェキル、ゲザル、ヴァルブエナ、ラカゼット...恐れずに言えばここ数年のクラブで最高のチームだったと思います。だからこそヨーロッパリーグで優勝できなかったことは悔いが残ります。リヨンはスポーツ面でもそれ以外でもしっかりと管理してくれました。リヨンにはそのノウハウがありますし、リヨンで成功する選手の数を見ても決して少なくはないでしょう」

──しかし、次のシーズンは難しくなりました。開幕からポジションを失いました。
「リヨンがマルセロを獲得したため、それまで左サイドバックでプレーしていたモレルがセンターバックでプレーするようになり、僕のポジションは無くなりました。前のシーズンでしっかり仕事をしたのにフェアではないと感じましたし、何よりも試合に出られないことが自分の成長の足かせになると感じました。マルセロがレッドカードを受けた次の試合で僕はスタメンに戻りましたが、彼が戻ってきたらまた僕はベンチに送られました。その時に僕はリヨンでのキャリア継続を迷いました。自分が若かったこともあり、当時の態度も悪かったと思います。監督を見下すようなことはしませんでしたが、昔のような意欲を見せない、努力しないという頭になっていました。僕の頭は既に別のクラブにありました。プロとしての意識が足りてなかったのだと思います。ブルーノ・ジェネシオ(当時のリヨンの監督)には何の文句もありません。僕の夢を実現し、家族にパンを与えるためのチャンスを僕にくれたのは彼だけでした。僕がリヨンでプレーできなくなったのはリヨンのせいではなく、自分自身に原因があることを今では理解しています」

──いつかフランスに戻りたい気持ちはありますか?
「最優先事項ではないですね。僕はリヨンというトップクラブでリーグ・アンを経験してるので、今の年齢でフランスに戻る場合、リヨンよりも野心のないチームを選ぶことはありません。バレンシアは良いクラブですが、プレミアリーグやブンデスリーガのような新しい国のリーグも見てみたいという気持ちはあります。バレンシアでは4年過ごしたので、別の環境に目を向ける時期が来たのかもしれませんが、今は将来のために何ができるかを考えながら様子を見てみようと思います。そういえばバレンシアと契約する前に、エヴァートンからもオファーがありました。その時、多くの人から"スペインはテクニックが必要だからイングランドに行った方がいい"と言われたことを覚えています(笑) 今はリーガでプレーできることを証明できたと思っています」

──近年、リーガのレベルが下がったと思う人が多いですが、あなたから見ていかがでしょうか?
「リーガでDFとしてプレーしている僕からすると、とんでもない!と言いたいです。ボルハ・イグレシアス、ソルダード、ラウール・デ・トマスなどフィジカルが非常に強いストライカーと対戦しなくてはなりません。ロナウド、メッシ、ネイマールが去ったことで魅力は下がったかもしれませんが、レベルが下がったわけではありません。ビルバオ、ベティス、セビージャといったチームを見ていると、レベルが非常に拮抗してきていると感じます。リーガのレベルが下がったのであれば、7位のビジャレアルがチャンピオンズリーグのベスト4に進んだ事実をどう説明するのでしょうか。ジェラール・モレーノ、パレホ、オヤルサバル、イニャキ・ウイリアムズ、イアゴ・アスパス...リーガには自分がどれほど偉大な選手であるかを気づいていない選手が多いと思います」

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