ブライアン・ヒルのインタビュー「国王杯の決勝戦のためにここに来た」
アトレティック戦2ndレグの前日に行われたブライアン・ヒルのインタビューです。先月21歳になったカディス出身のウインガーは、ロンドンでの不遇を経てメスタージャで笑顔を取り戻しました。このインタビューでは、移籍先にバレンシアを選んだ理由や自身の将来について話しています。
──ファンは今、明日の試合についてしか考えていないと思いますが、サッカー選手も常にそう考えているものでしょうか?
「サッカー選手は練習中は100%の気持ちでいなければなりませんが、外ではスイッチを切るべきだと思っています。僕が感じるのは、ファンが僕たちに伝えてくる力です。明日のような試合はファンにとっては特別ですが、僕たちは冷静でなくてはいけません。他の試合の時と同様に準備して、最後の試合であるかのようにすべてを尽くさなくてはならないのです」
──水曜日のメスタージャは...
「きっと素晴らしいことになるでしょう。ロッカールームの全員がそれを理解しています。ファンは全てを捧げてくれますし、僕たちもファンと同じレベルにいなければなりません」
──あなた自身の調子はどうですか?
「これまでにないくらいの準備ができていると感じています。チーム全体で気合が入っていますし、決勝に行きたいです。その喜びを、ファンにも僕たち自身にも与えたいんです」
──どんな試合になると予想しますか?
「互角の戦いになると思います。後ろはソリッドでなくてはいけませんし、前線も覚悟を持って臨まなければなりません。ペナルティーエリア内でより決定的なプレーをしたチームが勝ち上がることになると思います。プレスをかけたり、相手を追い詰めたり...そんな両チームのDNAの影響で、非常に高い強度の試合になるでしょうね」
──バレンシアでは今「Bronco y Copero (*1)」のDNAについてよく話されていますね。
「そう、それです。その考え方に共感しました。メンディリバルのDNAも同様の考え方であり、エイバルでもとても自分に合っていると感じました。彼からはもっと激しく、もっとアグレッシブになるようにと指導を受けました。そしてボルダラスも同じことを求めています」
(*1)「国王杯を優勝するために闘志むき出しで戦う」のような意味だそうです。
──そのDNAによって、激しいチームであると認識され、批判されているという面もあります...
「勝った時はそのDNAが見られますし、勝てない時にそういうことを言われます。僕らはそういった批判から自分たちを隔離しなければなりません。誰かが僕をアグレッシブだと言うのであれば、それもまた美徳のひとつです。モダンフットボールでは、タフであることは良いことですから」
──バレンシアに加入したという実感はありますか?
「初日からありますよ。カルロス(・ソレール)と話し、監督からも電話をもらいました。僕がここに来たいと思ったのと同様に、クラブも僕がここに来ることを望んでいましたからね」
──国王杯決勝進出の可能性があったことがあなたの決断に影響を与えたことは理解できます。
「この試合を戦うためにここに来た、と言いたいです。僕の年齢でタイトルを獲得することは夢ですし、バレンシアが決勝に進むための戦いをしていることも知っていました。トッテナムでは全ての選手が望むような出場時間を得られていなかったのでここに来ました。ここでは、勝つことでさらに時間をもらえることもわかっていました」
──国王杯の決勝でプレーできる可能性以外に、バレンシアのどこに惹かれましたか?
「僕に寄せてくれた信頼です。加えて、カルロス(・ソレール)、ウーゴ(・ギジャモン)、ガヤのようなチームの重要な選手たちを知っていたことももちろん考慮しました。代理人と話した時に、出場時間をもらえるクラブ・自分が重要であると感じられるクラブに行きたいと言ったんですが、バレンシアはその条件を全て満たしていました。それに歴史のあるクラブですし、国王杯もありましたし...ピッチの中でも外でも居心地が良いと感じています」
──数か月間のロンドン滞在で最悪だったことは継続してプレーできなかったことでしょうか?
「もちろんそうです。全ての選手が継続性を持つことを必要とし、望んでいますし、重要な存在になりたいと考えています。ここバレンシアではそれを初日から感じられていますし、それの有り無しによって試合でも練習でも、サッカーに向きあう時の気持ちに違いが出ます。そういうものを得られない状況に陥った時のために準備をしておかなければなりませんが、僕はロンドンでそれを経験しました。プレーできないことで日々の生活に影響が出るのは明らかです。毎日、より悲しく、より落ち込んでいきます。でもそれもサッカーの一部ですし、受け入れなければなりません。そういう意味で、ロンドンでの経験も僕にとっては良いものだったといえるかもしれません」
──それはどのような面でしょうか?
「異国の地で、異国のリーグでプレーすること、故郷から遠く離れた場所で個人的に難しい状況を経験すること...これらは自分を成長させるために必要なステップだと思います。僕は若いですが、サッカーの世界に年齢は関係ありません。それぞれの状況で可能な限りのことを吸収していくしかないんです」
──トッテナムで出場機会を得られないままバレンシアに来て、加入してから全ての試合:6試合連続でプレーしていますが、ブランクは感じていませんか?
「プレミアリーグでは練習がとてもフィジカル的でハードです。そのおかげだと思いますが、今は疲れを感じないですね」
──プレミアリーグではフィジカルの強さがやはり目立ちますね。
「そうですね。すごく目立ちますし、やや高めのレベルだと思います。フィジカル重視で一進一退のサッカーは、僕にとって適応が難しいものでした。でも、思うようなプレーができなくても僕にとってロンドンにいることは良い経験になったと思います。より成熟しましたし、家にシェフを呼んで食事の習慣も変えて、体重も2kg増加しました。それでもプレミアリーグで求められるフィジカルレベルと比べると全然足りていないことを実感しました。ロンドンに戻った時に準備万端であるように、バレンシアでもスタミナや体幹を鍛えています」
──バレンシアで半年間を過ごした後、ロンドンに戻れそうでしょうか?
「僕はトッテナム所属ですし、彼らが決めることです。僕が決めることではないですね」
──バレンシアに残るという選択肢はあるのでしょうか?
「それもトッテナムとバレンシアが考えることですね」
──あなた自身の意見としてはどうですか?
「僕はただの派遣社員です」