成績不振を理由に監督交代したにも関わらず、一向に上昇傾向が見えない最近のバレンシアは、クラブとファンの間に亀裂が入りかけている危機的状況にあります。ファンからの批判の声は監督・選手たちだけでなく、ギャリー・ネヴィル監督を連れてきたオーナーのピーター・リムにも向けられています。

そんな中、アマデオ・サルボ元会長がバレンシア市内のホテルで公式会見を行いました。

この日のホテル前には、リムをクラブに連れてきたアマデオ・サルボ氏に対して「詐欺師」と批判の横断幕を提示する団体も現れました。会見でサルボ氏は、これらのアクションに対して明確に反論しています。

「全てのバレンシアニスタと同様に、私も現在の状況を心配しているひとりです。ただ、全てのバレンシアニスタに伝えたいメッセージは、クラブが何も手を打てずにただ破産宣告の準備をしていた2009年に戻ってはならないということです。バレンシアは模範となるクラブでなければなりません」

「州政府からバレンシアをバレンシアを売らねばならないと言われ、我々はクラブ売却のプロセスを始めました。その時点で12月31日までに売却しなければなりませんでした。もしリムが来ていなかったとしたら、私たちがどうするべきだったかを皆さんは教えてくれますか？サーベラスに売るべきだったとでも？サーベラスのオファーは我々を小馬鹿にしたものでした。ゾロタヤの問題はさらに深刻で、オファー内容についての質問があった時点で、バックにロシアのマフィアが居ました。アメリカからのオファーは5000万ユーロ、唯一1億ユーロ以上のオファーを持ってきたのはワンダでした。そのため我々は、最初に彼らと会う決断をしました」

「その後、セビージャ戦とマドリー戦の間にワンダは新たに1億6000万ユーロのオファーを提示してきました。しかし最後に、リムが2億ユーロとスタジアム建設の完了を条件としたオファーを持ってきました。理事会では、メリトンのオファーが満場一致で可決されました」

「当然、リムがこのクラブに来たことの責任は私にあります。私にはバレンシアに2億ユーロを用意する責任があり、リムはそれを確約してくれました。加えて、クラブの所有者となるために、クラブの負債を支払うことも確約してくれました。彼のような投資家がいなかったら、我々は長い砂漠の道を歩く羽目になっていました。州政府とバンキアによってクラブは既に売りに出されていたのです。我々がそれを救いました。リムはクラブにとっての問題ではなく、解決策です」

「リムをバレンシアに連れてきたことはクラブにとって正しかったと躊躇なく、かつ胸を張って言えます。もし彼がいなければ、バレンシアはより深刻な問題を抱える事になっていたのですから。現状の成績を見ると、彼はスポーツ面において、誤った決断をしたのかもしれません。しかし、今のバレンシアにおいてその決断を下す権利を持っているのは彼、ただひとりです。ファンにはフロントや選手たちに対して批判する自由はありますが、そこに敬意をなくしてはいけません。金の亡者、泥棒などといった侮辱の言葉は批判ではありません」

また、バラバラとなりつつあるバレンシアニスタには、リムへのサポートと、団結を求めました。

「団結することこそが現状の解決策です。バラバラとなったクラブは死に体も同然です。私はリムに迷いがあるとは思いません。人は迷いがある時に1億ユーロのお金を使えるものでしょうか。彼は長期的にプロジェクトを実現させることを考えています。バレンシアのファンであることを誇りに思うことはあっても恥ずべきことはありません。こういう時にこそ皆でクラブを支え、これぞバレンシアというものを世界に見せましょう」

さらに、自身の辞職については、改めて権力争いではなく個人的な事情によるものであることを強調しました。

「リムは私がクラブを去った理由のすべてを知っています。私は父の病気を理由に自分の会社に戻りたいと彼に言いました。今、私の人生は別の場所にあります。ルフェテとヌーノの関係は確かに良好ではありませんでした。ただ、あくまで私がバレンシアを離れた理由は父の病気です。理事としてクラブで働くという選択肢も用意してもらいましたが、私が断りました。私は常に、自分が居る場所では100％の仕事をしなければならないと考えていましたが、あの時の私にとってそれは難しいことであったためです」