チャン・レイフン会長の公式会見
「両者合意により、ヌーノ・エスピーリト氏のトップチームの監督契約を解除した事を発表いたします。私たちは、クラブにとって新たなステージを始める事が最善であるという結論に達しました。昨季一年間の多大なる貢献とクラブをチャンピオンズリーグに導いてくれた事について、彼と、彼のスタッフに感謝します。私たちが最優先で取り組まなければならない事は新たな監督を見つける事です。それまでの間、チーム代表のボロを暫定監督として指名しました。また、フィル・ネヴィルとクラブに残る技術部門のスタッフがボロをサポートする事になります。今朝、私は選手たちと非常にポジティブなミーティングを行いました。特にこれだけの困難な時期であるにもかかわらず、彼らはクラブに理解を示し、非常に強く結束しています」
──ヌーノが去る事について何かファンに向けてのメッセージはありますか?
「これは祝福すべきニュースではありません。とても慎重にかつ徹底的に検証され、下された決断です。現在のチームのスポーツ面での成果を私たちが立てたプロジェクトに照らし合わせて見ると、決して満足できる状況ではありません。この一年を振り返ると、スポーツ面では昨季は自分たちが設定した目標を達成しました。財政面においても過去の問題からは解放されていますし、来月には既に発表している通り、増資によってより強化されます。その観点からみると、財政面ではこの一年の実績には満足しています。今回のスポーツ面でのこのテーマは、サッカーの世界では頻繁に発生する事です。しかし、クラブは優先順位において監督より上にあります。今回の一件が私たちにとって小さなステップバックである事は認めなければなりません。認めた上で、私たちはより前に、より上に行かなければならないのです」
──プレゼンテーションの日から最後の試合まで、監督周辺で穏やかではない雰囲気が出ていたと思います。クラブ外部で作られたその雰囲気はクラブの判断に影響を与えましたか?
「シーズン序盤、リーガ開幕戦の時点で、スタンドから指笛の音(ブーイング)が聴こえていた事は事実です。皆さんが仰っているように、私にも聴こえました。しかし、シーズンが進んでいく中でチームの結果を見てきました。今季のチームの歩みは我々が満足できるものではありませんでした。私たちのファンがクラブに情熱を注いでいる事は間違いありません。だからこそ私は皆さんの記事を解釈する上でエネルギーを無駄にはしないつもりです。重要な事は私たちそれぞれが自分たちの行動・態度を見直し、それを踏まえて私たちは仕事をしていくことだと思います」
──この危機は、クラブが持っていたスポーツ面のプロジェクトに問題があった事を示していると思います。スポーツディレクターの役職は置かないのですか?
「いつでも私たちはスポーツ面の構造について確認していますし、これからもそれを続けていきますが、優先順位は監督を探す事です」
──監督が最優先はということは理解しますが、スポーツディレクターも探しているという事ですか?
「いいえ、現時点では探していません」
──探すつもりは無いのですか?
「いいえ、その可能性まで否定するものではありません。私たちは常に企業としての構造をチェックし続ける必要があります。その構造に変更を加える事がクラブにとって最善であるならば、我々はそれを行わなければなりませんし、間違いなく行うでしょう」
──新たな監督が来るまでにどのくらいの時間がかかるのでしょうか。また、新監督を決めるのは誰の役割ですか?
「監督はチームにとって非常に重要な存在ですので、リム氏が直接この決定に関与する事になります。数日、あるいは数週間、出来るだけ間をあけずに発表できる事を願っています」
──バレンシアニスタがリムとヌーノを分けて考える事が出来ると感じますか?
「スポーツは結果が最も重要です。私たちはこれまで、主にクラブの制度面で長期的な展望に基づき話してきました。しかしながら、スポーツの世界では短期的な観点から話す事が必要な時があります。私たちはファンの皆様に両方の側面がある事を理解して頂き、一緒に歩んでいく事を望んでいます。チームが良いプレーをしていない時、残りの部分を忘れてしまう事は理解できます。しかし、皆さんに思い出して頂きたい事は、12ヶ月前のクラブは返済のためのお金がなく、実質破綻していたという事です。私たちは皆、このクラブを愛しています。このクラブが必要としているのは皆さんの積極的な形での団結です。株主だけでなくチームも、ファンも。皆がバラバラの状態になってしまったら、きっと私たちはクラブの将来について話す事は出来ないでしょう」
──メリトン・ホールディングスはジョルジュ・メンデスがバレンシアでした事のダメージの大きさを認識しているのですか?
「私たちはこれまでの全ての会見でジョルジュ・メンデスについて話をしてきました。彼の話題については私も正直なところ疲れを感じています。もし言われている通りにメンデスがクラブを動かしていたとしたら、ヌーノが今日クラブを去る事は無かったでしょう。全てはこれまでの結果とチームのパフォーマンスに基づいています。そしてそれは、私たちの選手たちについても同じです。彼らがこのクラブに居る理由は、私たちが彼らのポテンシャルを信じているからです。私は決して独善的になりたくはありません。このクラブには素晴らしいチームがあると信じていますが、私は今のチームは、チームとして機能していないと感じています。新監督については、メンデスといかなる関係も持たない人物になるでしょう。これからやってくる新たな監督は、その人物が持つ資質と、どれだけクラブに貢献できるかを考慮した上で選ばれる事になる、という事を私は声を大にして言いたいと思います」
──ヌーノと3年も契約延長した事を早まった決断だったと感じていますか?
「その時は、それがチームに安定をもたらす事が良いと思ったのでそうしました」
──ヌーノを解任するという決断はいつ、どのように下されたのですか?
「この数週間、その決断を下す可能性が存在していました。それぞれの試合の後に私たちはミーティングを行っていましたが、セビージャ戦の前のミーティングで決断され、試合後に通達されました」
──今朝、選手たちとはどんな話をしましたか?
「監督を尊重していますので、私から選手たちにスポーツ面の問題について話す事はありません。私たちの選手が怪我してしまった時は、すごく心配な気持ちになりますが、それでもスポーツ面の問題に深く入って行く事はしません。今朝は選手たちと良いコミュニケーションをとりました。ただ、私はその中でもプライベートを維持します」
──監督が去ったチームは、新監督の候補についていろいろな名前を挙げられるものです。会長の希望の人材はいますか?アンチェロッティが来る可能性はいかがでしょう?
「そのテーマについては私から特定の監督の名前を挙げる事はありません。ただ、リーダーシップがあり、試合に新しいアプローチを与える事が出来る監督に来てもらう事が重要だと考えています。さらに私個人としては、新監督にはバレンシアのファンと、このコミュニティを理解している人であってほしいと願っています」
──選手たちの成長に賭ける、というヌーノが作った補強方針はこれから変わっていくのでしょうか。
「私が行ったのはロッカールームでのリーダーシップと新たなアプローチです。私は若い選手を獲得するという方針が間違っていたとは思いません。将来のために若い選手たちに投資する必要があると思います。しかし同時に、彼らを成長させる事が出来る経験豊富な選手達の存在も必要だと考えています。ホセ・ラモン・アレサンコは既にトップチームの50%をカンテラーノにする事が目標であると就任時の会見で語りました。それは私の願いでもあります。私は、トップチームのキャプテンが私たちのアカデミーから出て来る日を待っています」
──新監督は1月の選手獲得についての権限も持ってやって来る事になるのでしょうか。
「私たちはまず監督を連れてきます。その後に新監督の仕事と結果を見ていく事になるでしょう。既に私たちのチームには才能豊かな選手たちが揃っていますし、バランスも取れていると思います」