クラブ買収のコンペで落札者となったピーター・リム氏が、クラブ買収のプロセスを中断した事をスペインの各メディアが一斉に報じました。

2011年に、当時の会長であったマヌエル・ジョレンテがBankia HabitatとAedifica Groupと立ち上げたプロジェクト「Newcoval」が反故にされた事に対する逸失利益としてAedificaが8700万ユーロを求めてきたためだそうです。

この「Newcoval」というプロジェクトは、当時2年間でノウ・メスタージャの建設を完了させる事を目的として立ち上げられました。しかし、Bankia HabitatがパートナーとなるはずのAedifica Groupがバレンシア自治州からの要件を満たしていない事を見つけ、手を引いたためこのプロジェクトは早々に倒れる事となりました。

サルボ会長は既にNewcovalの関係会社に実際にかかったコスト180万ユーロの50％に当たる90万ユーロを補償金として支払う事で既に合意していましたが、ここに来てAedificaが逸失利益として8700万ユーロを求めてきました。これについては、入札でリム氏に敗れたロシアのガス貿易会社Zolotaya ZvezdaがAedificaの背後に付いている事から、リム氏のバレンシア買収を阻止したい彼らによってけしかけられたものだ、という報道もあります。

確かな事は、この一件によりバレンシアのクラブ買収話が再び複雑な状況を迎えたという事です。Aedificaがクラブに求めている「8700万ユーロの支払い」が無効だという事を保証されないうちは、ピーター・リムは購入の話を進める事は無いでしょう。

「私たちは詐欺師にウンザリしている」──これは昨日午後に行われた取締役会の後の公式会見でアマデオ・サルボ会長が強い怒りを露わにしながら発したフレーズです。また、当時このプロジェクトにかかわっていたジョレンテ元会長も「8700万ユーロという彼らの要求は意味の無いナンセンスなものだ」とコメントしています。