27年ぶりのスポンサーなし
今季のバレンシアはユニフォームの胸スポンサーなしでシーズン開幕を迎えました。このまま今季メインスポンサーがつかないとなると、1984/85シーズンに初めて胸スポンサーをつけて以来、27年間で初めての事になるそうです。
現在もクラブのマーケティング部門がメインスポンサーとなる企業を探しているようですが、これまでに契約したスポンサーはMSCとハーバライフのみ。前者のロゴはユニフォームの左袖に、後者のロゴはパンツに入っています。
この30年弱の間、バレンシアのユニフォームには数々の企業のロゴがつけられていました。貯蓄銀行(Caja Ahorros Valencia)、旅行協会(Mediterrania Comunitat Valenciana)、清掃用品協同組合(CIP)、2つの自動車メーカー(Ford、TOYOTA)、テーマパーク(Terra Mitica)、通信会社(Metrored)、架空のイベント運営企業(Valencia Experience)、オンラインカジノ(UNIBET)。
1984年まで白いユニフォームを保ってきたバレンシアでしたが、クラブの財政面の悪化により、84/85シーズンに初めてユニフォームの胸にロゴを入れる事になりました。最初につけられたロゴはメインバンクである「Caja Ahorros Valencia」です。その後バレンシアは破産し、2部に降格しますが、このロゴは1992年までユニフォームにあり続けました。
92年から2シーズン契約したMediterrania Comunitat Valencianaのスポンサー料は、年間1億4000万ペセタでした。この旅行会社との契約が切れた1994年にはCIPと9000万ペセタで1年間の契約を結んでいます。
95年からメインスポンサーを務めたFordとは、3シーズン合計で5億ペセタ(約300万ユーロ)の契約を結びました。そして、フォードの後に契約を結んだベニドルム市のテーマパーク「Terra Mitica」のロゴをつけてから、バレンシアは国王杯とスペインスーペルコパを手にします。
Terra Miticaとの素晴らしい関係が続く中、リーグ優勝を果たした2001/02シーズンのみバレンシアは「Metrored」と契約を結びました。この通信会社が提示してきたスポンサー料金180万ユーロという金額は非常に良いものでしたが、彼ら自身の倒産により契約がこれ以上続くことはありませんでした。
続く2002/03シーズン、Metroredの破産によりクラブはメインスポンサーなしで最初の数試合を戦いました。その後、再びTerra Miticaと年間200万ユーロでスポンサー契約を結んでいます。
2003年からは日本の自動車メーカー「TOYOTA」とスポンサー契約を結びました。バレンシアにとって最も長く契約し続けた一般企業となります。TOYOTAとの契約は年間350万ユーロという非常に好条件のものでした。そしてこの間、バレンシアはリーガ、UEFAカップ、UEFAスーパーカップ、国王杯と多くのタイトルを勝ち取りました。
しかし2007年の夏にF1のバレンシア開催が決まり、このシーズンを最後にTOYOTAがスポンサーから撤退。その後に突如現れた「Valencia Experience」によってバレンシアはクラブ運営を大きく乱されることになります。この"誰も聴いた事が無い企業"のスポンサー料は年間600万ユーロという非常に高額のものでした。しかしこの企業が、当時のバレンシアの会長ファン・ソレールと取締役のヘスス・ウォルスティンによって作られた実体の無い架空会社であると判明しました。ソレールの後に会長に就任したビセンテ・ソリアーノは、スポンサー料金が入ってこない上、Valencia Experienceのロゴをつけたユニフォームの処分に悩まされる、という事態に苦しみながらも新たなスポンサーを探し、最終的に「UNIBET」と半年間で150万ユーロという契約を結びました。
その後の2シーズン、UNIBETとは年間350万ユーロの契約を結んで財政の建て直しを計ってきましたが、今夏はついにメインスポンサー不在と言う事態になりました。ビジャレアルとアトレティコ・マドリーも同じく、メインスポンサーなしでリーガ開幕を迎えています。