マタのインタビュー
マンチェスター・ユナイテッド戦(UEFA CLグループリーグ第6節)の前に英ガーディアン紙にて行われたマタのインタビューです。マタの公式サイトより。
噂によると、君たちがメスタージャでユナイテッドに負けた時、君はダブルでショックを受けていたらしい。負けた事に加えて、ライアン・ギグスのユニフォームを手に入れるチャンスを逃したから、という事らしいけど・・・
「うん、そうなんだ。小さい頃からギグスは僕のアイドルだった。僕が今まで見てきた中で最高のウインガーのひとりじゃないかな。1stレグでギグスがプレーしなかった事は本当に残念だった。オールド・トラフォードでは対戦できるといいな。その時は僕が彼のユニフォームをもらえるかどうか見ててよ」
君は幼い頃からレアル・オビエドを応援していた。でも、今の発言はマンチェスター・ユナイテッドも応援してたって事でいいのかな?
「いや、僕が好きなのはギグスだ。今までにイングランドのサッカーはたくさん見てきた。ユナイテッドやチェルシー、その他のチームの試合も見たけど、ベルカンプが居たアーセナルを応援していたのを覚えているよ。すごく良いチームだった。オールド・トラフォードではプレシーズンマッチでプレーしたことがあるんだけど、素晴らしいスタジアムだった。試合当日はあの時より、もっと凄い雰囲気を味わえると信じてる。だから試合が待ち遠しいんだ。もちろん、勝つつもりだよ」
最初のメスタージャでの対戦では、バレンシアが試合を支配していたにもかかわらず、負けてしまった。
「彼らのゴールはまさにビッグチームのゴールという感じだった。彼らは多くのチャンスを作り出していなかったにもかかわらず、ここぞという場面でそれを成し遂げ、僕らを打ち砕いた。ショックはかなり大きかったよ。僕らは良い試合をし、彼らと互角に戦っている事に手応えを感じ始めていた。まさにその瞬間に彼らはゴールを決めたんだ。経験の差だろうね。彼らはチーム全体でこの戦いを勝ち抜くための方法を知っていると感じたよ。彼らは自分たちのペースの時はもちろん、相手のペースの時でも、しっかり反撃し、守り、チャンスを待つ事が出来るんだ。そしてカウンターアタックで一発だよ」
先制点を奪われた後はどんな気持ちだった?
「イライラしてたよ。僕らの出来は決して悪くなかったんだから。でも、勝利への欲望、結果を得るという熱意が僕らにとって不利に働いたかもしれないね」
一方で、レンジャーズ戦では相手の方が良い出来だったよね。
「スコットランドでの試合の事?スペインでは僕らがしっかりと彼らを叩いたよね?その試合は確かに彼らの方が沢山のチャンスを作っていて、僕らはオウンゴールでしか点を取れなかった。内容からすると良い結果だったと思うよ。少しだけ運も良かったよね」
ユナイテッドで際立っている選手は?
「ナニのプレーは好きだよ。あと代表戦で戦った事もあるチチャリート(ハビエル・エルナンデス)も。ベルバトフもレベルの高い選手だし、スコールズもギグスと同じくユナイテッドの歴史の一部だ。彼は完璧なプレーヤーだと思う。ストライカーの後ろから上がってきて強烈なシュートで沢山のゴールを決めている。それに深い位置でもどっしり構えてプレー出来る。ずば抜けたテクニックとビジョンがあって、鮮やかなパスも出せるしね」
バレンシアはビジャとシルバを失った。そしてそのビジャはクラシコで2点決めた。ワールドカップの得点王であり、君と同じアストゥリアス出身の仲間だ。彼が居なくて寂しさを感じる?
「うん。サッカーを通じてだけじゃなく、人間としても素晴らしい選手だからね。今でもすごく大切な友人だし、彼がチームに居ない事を寂しいと感じた日もあるよ」
なぜ、誰もバロンドールの候補に彼の名前を出さないんだろう?
「うん。実際、彼のワールドカップでの活躍がなかったら僕らは優勝できなかったと思う。彼のゴールが拮抗した試合を打ち砕いてくれたことは何度もあるんだ。ホンジュラス戦、ポルトガル戦、パラグアイ戦・・・。特にパラグアイ戦は大きかった。もし彼がピッチに居なかったら、僕らは引き分けた末のPK戦で敗れていたか、先制点を奪われてそのまま負けていたかもしれない。そしてあの試合で彼のゴールが決まった時が、僕が初めて"この大会はたぶん僕らの大会になる ─優勝できる─ "って感じた時なんだ。だから、僕は彼がバロンドールの候補に入るべき選手だと思ってる。ただ、選者はクラブでの成績も考慮したんだろうね。バルサはリーグ優勝したわけだから」
ビジャの他にサッカー選手で仲が良い選手は誰?
「ホアキン、カプデビラ・・・あ、あとMCペペ・レイナ!」
今まで対戦した選手で一番苦労させられたのは誰?
「ダニ・アウベスには苦しめられたよ。彼と対峙するにはとても高い攻撃力と防御力が要求されるんだ。彼はとにかく走って走って走って・・・とにかく走るんだ」
君はワールドカップの影響でオフのうち50日間が削られる事になった。イングランドはその問題に悩まされずにすんだけど(笑)、この50日間は何をして過ごしてたの?
「読書に時間を割いたよ。ジョン・カーリンがエルソン・マンデラについて書いた"The Human Factor"を読んだ。この本はマンデラが彼の国のため、人類のためにした全てが書かれていて、もちろんスポーツも関連してくる。本は南アフリカに行ってから手にしたよ。自分たちがプレーしていた国について少し知りたくなったんだ。あとは"Entourage"シリーズのDVDを見たり、しょっちゅう卓球をしてた」
卓球は上手なの?
「どうだろう、好きなのは確かだけどね(ニヤッとする)」
君はチームでは上手な方に入るんでしょ?
「うーん、まぁね(照れながら)。ビクトル・バルデス、ラモス、ブスケッツ、ジョレンテ、ピケとは対戦したよ」
最近買ったCDは?
「ダニ・マルティンの新作。彼はEl Canto del Locoのボーカルだよ」
最後の晩餐に食べたいものは?
「チーズソースがかかったトルコステーキ。母の得意料理なんだ」
チーズとチョコレートだったらどちらが好き?
「絶対にチョコレート」
君は101号室に何を入れる?
「どういう意味?」
あぁ、ごめん。一般的に101号室というのは、ジョージ・オーウェルの小説で出てきた部屋の事で、地球上で自分の嫌いなものを閉じ込める部屋の事だ。大体の人はこう言うんだ。"戦争"ってね。
「ああ、なるほど。じゃあ僕は"不正"と"嘘"と"悪人"かな。悪人というのは他人を傷つけて喜んでいるような輩の事だ」
サッカーの世界に今あげたような事は多数存在するよね?
「今僕が言ったのは一般的なことなんだけど・・・うーん(暫し考える)・・・良い人か悪い人かわからないけど、悪い意図を持ってスポーツの世界に関わろうとしてる外の人間は居るよね」
今、ポケットには何が入ってる?
「ポケットは・・・ついてないや」
今日のこの後の予定は?
「えっと、練習だよ」
そうか、今日は良い話が聞けたよ。ありがとうファン・マタ!
「こちらこそ!」