ピーター・リムのサラリーキャップ制度
「プリメーラに残留し、ヨーロッパには行かない」
これが今夏のバレンシアにとって唯一決まっていることです。例年同様かそれ以上に、技術部門は難しい夏を迎えることになるでしょう。数人の選手はレンタル元のクラブに帰り、獲得の約束を取り付けた選手についてもシンガポールからのOKが来ないことには契約書を提示できません。

加えて、チームに残る選手たちの金銭的評価を改める業務も無視できないほどに難しいものになります。彼らの多くはリザーブチームから上がってきたばかりであり、給与条件は時代遅れなほどに低いものだからです。
クラブが現在、最も契約更新に力を入れているのがタレガ(Transfermarktで600万ユーロと評価)とディエゴ・ロペス(同1000万ユーロと評価)です。
トップチーム昇格前に今の契約を結んだ彼らの給与は年俸50万ユーロ以下ですが、バレンシアやU-21代表での活躍で市場価値は倍増しています。クラブには彼らと契約更新する意欲はありますが、リムが定めたサラリーキャップ(獲得する選手と契約更新する選手の給与を年俸100万ユーロ以下に抑える)があるため、簡単ではありません。バレンシアにとって唯一の救いは、2人ともバレンシアでキャリアを続けることを望んでいる点です。
2028年まで契約を結んでいるタレガはチームで給与が最も低い選手の一人です。クラブは当初、彼を3番手or4番手センターバックとして計画していました。しかし、シーズンを通じて成長の限界がないことを証明し、文句なしのレギュラーであるだけでなくチームのキープレーヤーの一人となりました。

モスケラ(3000万ユーロ評価)やハビ・ゲラ(2000万)の2人も同様です。2人とも給与は100万ユーロ弱ですが、チームでの活躍によりその価値はヨーロッパレベルまで上昇しています。
特にモスケラについては契約が2026年までのため、クラブと選手の双方にとって魅力的なオファーが次々と届く夏になるでしょう。大きなサプライズがない限り、確実に売却される選手の一人です。
2027年までの契約を結んでいるハビ・ゲラは、クラブにとってより長い契約を結ぶのにちょうど良い契約条件にあります。しかし、リムのサラリーキャップにより彼にもパフォーマンスに見合った給与を出すことができないため、魅力的なオファー(クラブの理想としては2500万ユーロ以上)が届いた場合、彼も放出対象となります。

来月契約が切れるフルキエもチームを去る可能性が高い選手の一人です。現状の年俸が100万ユーロ弱のフルキエは、クラブからの減俸提示を受け入れる代わりに2年契約を求めました。しかし、クラブは1年契約+オプション1年延長(出場試合数に応じて)の条件でオファーを出しており、現時点で合意に至っていません。フルキエ自身もこれ以上バレンシアの譲歩を待つつもりはなく、プリメーラの他のクラブを含む複数のクラブとの交渉を始めています。
リムはここ数年、専ら人件費の削減に力を注いできました。しかし、選手たちの多くは2年前の残留争いから成長し、市場価値とバレンシアでの給与条件が見合っていないものになりました。ラ・リーガはバレンシアのチームコスト(移籍金や選手の給与の総額)の上限を7900万ユーロと定めましたが、実際に使用している金額はこの上限に達していません。
Transfermarktではこのチームの総資産額(選手の価値)をラ・リーガで10番目に高い2億1400万ユーロと算出しており、この比率は36.9%で上位10チームの中で最も低い数値となっています。参考までにアトレティコの給与コストと総資産額の比率は60%、セビージャは63%、ベティスとビジャレアルは62%です。
2024/2025シーズンのバレンシアの選手の年俸 (Capology調べ)
単位はユーロ、左の金額がネット/手取り、カッコ内の金額がグロス/支給額です。
- 280万 (583万) ガヤ
- 200万 (417万) ウーゴ・ドゥロ
- 192万 (400万) ディアカビ
- 92万 (192万) ギジャモン
- 91万 (190万) ラファ・ミル
- 90万 (188万) モスケラ
- 90万 (187万) フルキエ
- 88万 (184万) ティエリー
- 72万 (150万) カノス
- 72万 (150万) ママルダシュヴィリ
- 70万 (145万) ジャウメ・ドメネク
- 62万 (130万) ペペル
- 60万 (125万) アーロンズ
- 60万 (125万) バレネチェア
- 60万 (124万) ディミトリエフスキ
- 58万 (120万) サディク
- 50万 (104万) リオハ
- 38万 (80万) ディエゴ・ロペス
- 35万 (72万) イバン・ハイメ
- 30万 (62万) フラン・ペレス
- 30万 (62万) ヘスス・バスケス
- 30万 (62万) ヤレク
- 29万 (60万) アンドレ・アウメイダ
- 19万 (40万) ハビ・ゲラ
- 10万 (20万) タレガ
合計 1908万 (3972万)
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