波紋を呼ぶユヌス・ムサのインタビュー
アメリカ代表の一員としてCONCACAFネーションズリーグ優勝を果たしたユヌス・ムサのインタビューが、昨日のガーディアン紙に掲載されました。その内容がネガティブな形で話題になってしまいました。
ユヌスはアメリカ代表でのことについて話した後、バレンシアのことについて話しましたが、その中で先月のメスタージャでのレアル・マドリー戦であった人種差別発言について聞かれ、以下のように答えました。
「僕が全く理解できなかったことは、スタジアムがヴィニシウスに対して批判の声を挙げていることでした。もちろん、スタジアムに居た全員が何が起きているのかを理解していたわけではないでしょう。それでもスタジアムが人種差別的な侮辱を受けた人に対して大きな声でチャントを歌っているのを見て非常に悲しくなりました。そのチャントは私が今までスタジアムで聞いた中で最も騒々しいもので、ヴィニシウスがどう感じたのか想像もつきません」
「正直に言って、これまで何度も同じようなことがあったのでショックは受けませんでした。何度もというのはメスタージャではなくラ・リーガで、という意味です。驚きはありませんでしたが、一般的にあってはならないことなので悲しく思いました。このようなことから選手を守るために、そしてどれだけ耐え難いことであるか、どれだけ深刻な結果をもたらすかを理解してもらうために、もっと多くのことが出来るはずです」
また、今季最もバレンシアニスタが怒りの頂点に達したのは国王杯でアトレティックに敗れた後だと語りました。
「国王杯でアトレティックに敗れた後、ファンはとても怒っていて、僕らがスタジアムから出ることを許してくれませんでした。安全に出られないのではないかと感じました。兄に僕の車を駐車場に取りに行ってもらい、スタジアムのゲートまで迎えに来てもらいました。何人かのファンが僕に気が付いて走って来たので、すぐに車を出さなければなりませんでした。僕が車中に居ることを知った途端、彼らは僕らに物を投げてきました」
「とても不快でした。ファンには自分の人間性を理解してもらいたかったです。僕らも人間です。彼らは非常に怒っていて、車に物を投げたり、車を揺さぶろうとしたり、窓を叩いたりとあらゆることを試みていました。それは良くないことだと思います」
そして残留争いについては以下の通りコメントしました。
「あのような状況で一種のプレッシャーに対処するのは本当に難しいと感じました。降格はクラブに長期的な影響を与えます。だからこそ絶対に避けたいと思っていました。ピッチ上では多くの試合で不安や緊張があり、時にはかかっているものの大きさでプレーするのが少し快適ではない時もありました。確かに困難なシーズンでしたが、最終的に残留できたことはとても嬉しかったです」
「大きな挑戦でしたが、最終的には自力で残留を果たしました。シーズン終盤は再び状況が変わり、ファンが僕らにとってポジティブな要因となってくれました。ファンにサポートしてもらえたことは良かったです」
「アメリカ代表とバレンシアは戦う舞台も違うし、チームも全く異なります。ここ(代表チーム)は雰囲気が全く違うんです。代表の仲間と一緒にネーションズリーグやその他のことを準備できたことは自分にとってとても良いことでした。ここにいる間は、バレンシアでのシーズン後半戦のことは考えませんでした」
この内容──特に「スタジアム全体が人種差別発言をした」とも取られかねない"スタジアムからのチャント"の発言がバレンシアニスタの怒りを引き起こしました。
ユヌスは自身のSNSで弁解のコメントを出しました。
「ガーディアン紙でのメスタージャとバレンシアのファンについての私の発言が誤解された可能性があるので明確にしたいと思います。私は彼らに敬意を持っており、いつもサポートしてくれることについて感謝しています。私が人種差別主義者について話す時は、サッカーから根絶しなければならない数人のファンについて発言しています。今回の件ではクラブは非常に迅速に行動し、人種差別に関与した3人をスタジアムから永久追放しました。これがこの問題に取り組む方法です。メスタージャは人種差別的なスタジアムではありませんし、バレンシアニスモに人種差別主義者のレッテルを貼らせることはできません。共に人種差別に立ち向かいましょう!」
試合後のアンチェロッティ監督に続いて、先日はレアル・マドリーのロドリゴ・ゴエスがメスタージャ全体から人種差別があったと発言しました。2人とも、その後に「誤りであった」と発言を訂正していますが、当初の発言が大きな注目を集める一方で訂正・謝罪は話題にならないこともあり、国際的にメスタージャとバレンシアニスタに悪意のあるレッテルが貼られようとしています。
そんな中で今回のユヌスの発言があったことで、彼のSNSは炎上してしまいました。リーガ最終節の一発退場となったプレーも併せて、彼のコメントには見るに堪えないリプライの言葉が投げつけられています。