ピッチーニがレンタル移籍
クリスティアーノ・ピッチーニ(27)が、イタリアのアタランタに1年間のレンタル移籍をすることが公式発表されました。300万ユーロでの買取オプション付きです。
レンタル契約満了を除き、今夏6番目にバレンシアを去ることになったピッチーニは2018年7月、モントーヤとナチョ・ビダルの抜けた右サイドバックの補強として移籍金800万ユーロでスポルティング・リスボンからやってきました。同じポジションを競う選手が居なかったこともあって開幕戦からレギュラーを務め、バレンシア加入後の2018年10月にイタリア代表デビューも果たしました。
バレンシアでのピッチーニといえば、記憶に強く残るのが2018年最後の試合となったウエスカ戦での決勝ゴールです。クラブ創設100周年を迎えたこのシーズン、マルセリーノ監督のチームは前半戦でなかなか勝てず非常に苦しい状態にありました。そして、負けたら監督解任と言われていたこの一戦も、バレンシアは昇格チームであるウエスカ相手に非常に苦しんでいました。
そんな中、後半ロスタイム3分を過ぎたところでゴラッソを決めてチームを、監督を救ったのがピッチーニでした。その後のチームの急浮上と国王杯優勝へのターニングポイントはこの試合だったといっても過言ではありません。
残念ながら2019年8月に負った深刻な膝の怪我により、1年近くピッチを離れましたが、今夏ついに戻ってきました。しかし、クラブは1年のブランクがある彼に信頼をおくことはありませんでした。
ピッチーニについては複数のクラブから問い合わせがありましたが、アタランタの「レンタル期間中のピッチーニの給料を支払う」という条件が、人件費の削減を進めたいバレンシアにとって良い条件であったことが合意の決め手となりました。しかしながら、買取オプションの設定金額の低さには再び疑問を覚えるところです。800万ユーロで獲得したこのイタリア代表DFにつけた300万ユーロの値段は、今夏これまでに放出した選手たちと同様にバーゲン価格と言えるでしょう。
さらにクラブは、ピッチーニの保有権の1割を保持しているスポルティング・リスボンに、彼の移籍で得た収入の1割を支払わなくてはなりません。つまり、アタランタがオプションを行使した場合、バレンシアが手にできる金額はわずか270万ユーロということになります。