ルベン・バラハ
2002年4月27日。
この日、01/02シーズンのリーガ第36節が行なわれました。
試合前の時点で、首位バレンシアの勝点は66、2位レアル・マドリーの勝点は65。
残りは3試合。壮絶な優勝争いを繰り広げていたわけです。
バレンシアはメスタージャにエスパニョールを迎えての一戦。主審はカンタレホ。
フォーメーションはベニテス監督の十八番である4-2-3-1。GKにカニサレス、DFラインは右から出場停止のクーロ・トーレスの代役アングーロ、アジャラ、ジュキッチ、カルボーニ。中盤ドブレピボーテはABコンビ。右にルフェテ、左にビセンテ、中央にアイマール、トップはミスタという布陣です。
試合は早い段階から動きます。前半28分、タムードのクロスがアジャラの上腕に当たり、ハンドの判定。いきなりPKを取られます。これをタムードに決められ0-1。
さらに不運は続き、前半30分。カルボーニがMFデ・ルーカスと競った際に肘が顔に入ってしまい一発退場。
残り60分を1点ビハインド+10人で戦う事になってしまいました。
そして45分経過。なんとか前半を0-1でしのいだバレンシア。この時点での唯一の救いはマドリーがソシエダに0-1で負けていた事です。とはいえ同時キックオフですし、この先何が起こるかわかりません。
後半に入り、ベニテス監督が動きました。
アングーロout ファビオ・アウレリオin。 ビセンテout キリ・ゴンサレスin。
このシーズン、ビセンテにスタメンの座を奪われ、悔しいシーズンを過ごしていたキリ・ゴンサレスですが、投入直後に仕事をします。
後半22分、ルフェテからのフィードに反応しDFライン裏に抜け出すと、低いセンタリング。ミスタの後ろを通ったボールはバラハの足元へ。
バラハのシュートは貴重な同点段となりました。メスタージャが大歓声に包まれます。
後半31分、ミスタに代えてファン・サンチェスを投入。その2分後、中央をドリブルで駆け上がったアイマールから左サイドへスルーパス。
再びキリ・ゴンサレスが折り返すと、今度はそこへ走りこんできたバラハがダイレクトボレー。
美しいゴールがエスパニョールのゴールに突き刺さりました。10人での大逆転です。
結局バレンシアはこのまま逃げ切り、2-1で勝利。早い時間に先制されたというのもありますが、10人でシュート19本を放ち、勝利への執念を見せました。(エスパニョールは6本)
一方のマドリーはソシエダの前に為すすべなし。立て続けの失点で0-3でこの試合を落とすと、残り2試合も点を取れず、1分1敗。最終的にデポルティボに抜かれて3位に落ちてしまいました。
エスパニョール戦で劇的な勝利を飾ったバレンシアは、その勢いを保ったまま、続くアウェーのマラガ戦に0-2で勝利し優勝を確定。最終節ベティス戦も2-0で勝利し、バレンシアの街は31年ぶりの歓喜に包まれたのです。
このシーズン、バラハはケガで開幕からだいぶ出遅れていました。チームも16試合を終えて8位。総得点は15というなんとも不甲斐ないものでした。
ベニテス監督の進退問題もたびたび出ていたと思います。しかし、バラハが復帰した17節以降、ぐんぐん順位を上げ、26節には首位に躍り出ました。まさにバラハマジックです。
その後30節に首位の座を奪われるものの、34節に再度奪首。そして冒頭の36節へと話が戻ります。
バラハはこのシーズン、17試合の出場で7ゴール。ピボーテでありながら2試合に1点のペースでゴールを量産し、半年休んでいたにも関わらずチーム得点王になったのでした。
──というわけで。
ここ数年、特に昨年は以前のようなダイナミクスが無くなった事で限界説を唱えられたり、クーマン側についた事でチーム内でギクシャクしたり(自分も失望しそうになりました)とあまり内外で良い話の無かったバラハですが、02/03のCLインテル戦での決勝点(1stレグ)、03/04の優勝を決めたセビージャ戦のダメ押し点、04スーペルコパ:ポルト戦での先制点と、ここぞという時に点を獲ってくれるのがバラハなんだよなぁ~と、その都度思い出したものです。
昨季の国王杯、自分の目の前でバルサ相手にゴラッソを叩き込んでくれたバラハ。
今季の国王杯でセビージャ相手に同点弾を決めたのもバラハでしたね。
以前のようなプレーは出来ないかもしれないけど、やっぱりこの人にはバレンシアで引退して欲しいな、と思わずに居られないのでした。
でも、試合中はもうちょっと走ってね。