マテウ・アレマニーGM続投へ
8月2日、マテウ・アレマニーGMとアニル・マーシー会長、エグゼクティブアドバイザーのキム・コウがシンガポールに飛び、オーナーのピーター・リムとミーティングをしました。6時間の話し合いの末、4人はクラブの安定性を最優先とすることで意見が一致し、解任濃厚とみられていたアレマニーGMを現職で続投することが正式に決定しました。
アレマニーGMとピーター・リムの補強方針に関する意見の違いから生まれた今回の「バレンシア・クライシス」も一旦決着がついたことになります。
今回のミーティングがポジティブな結果で終わった背景には、リムが2年連続のチャンピオンズリーグ出場と11年ぶりの国王杯のタイトルという2年間のアレマニー・プロジェクトの成功を評価した点にありました。そして、このシンガポール人オーナーは、マーシー会長とアレマニーGMに「オーナーの補強方針ではない、別の選択をする」という彼らの判断が正しいことを証明すべく、チャンピオンズリーグに継続して出場し続けることを強く求めました。
また、アレマニーGMもリムの考えに一定の理解を示しました。今回のミーティングで、マルセリーノ監督の希望で獲得交渉を進めていたもののリムが望んでいなかったラフィーニャの獲得交渉の打ち切りと、リムが希望するイ・ガンインの今季のチーム残留が決定的となりました。ただし、ガンインを残留させることで、リムが希望したオタメンディの獲得は難しくなりました。チームはガンイン、ガブリエウ・パウリスタ、マキシ・ゴメスと併せて3人のEUパス非保持者を抱えることになり、同じくEUパスを持たないオタメンディの居場所がなくなるためです(彼が2014年にバレンシアに加入する前に、同じ理由で半年間アトレティコ・ミネイロでプレーしています)。
加えて、チーム全員がアレマニーGMとマルセリーノ監督を強くサポートしているという事実もリムの考えに影響を与えたことは間違いありません。特にパレホ、ジャウメ、ガヤ、ロドリゴ、コンドグビアのカピタネス達がリムを説得するためにシンガポールに渡ろうとした事実、そして、それが叶わないなら、とパレホがチームを代表してマーシー会長に伝えた「うまくいっているプロジェクトを変更しないでほしい」という、ロッカールームの強い団結の証ともいえる切実な言葉は、マーシー会長がリムを説得するのに大いに役立ちました。
リーガ開幕まで2週間となった今、アレマニーGMとロンゴリアSDは、今のチームに賭けている10%の戦力を補強すべく、再び動き始めます。解決すべきテーマは3つ。マルセリーノ監督がサルバ・ルイスのパフォーマンスに満足していない今、最も優先順位が高いのがガヤの「バックアッパー」であり、続いて若いハビ・ヒメネスに替わるトップリーグでの経験が豊富な「4人目のセンターバック」、最後にゲデスとバジェホで代用が効く「4人目のストライカー」となります。